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召喚キャラは「ナイトウィザード」から柊蓮司と志宝エリス 基本TRPG「ナイトウィザード」の各種設定をふまえて ただし宝玉の少女の件に関してはアニメ版準拠 シェローティアの空砦は起こらない エル=ネイシアについては起こるかもしれない 下二つについて、一応分類として「セブン=フォートレス」のものなので除外 ルイズと夜闇の魔法使い-01 ルイズと夜闇の魔法使い-02 ルイズと夜闇の魔法使い-03 ルイズと夜闇の魔法使い-04 ルイズと夜闇の魔法使い-05 ルイズと夜闇の魔法使い-06 ルイズと夜闇の魔法使い-07 ルイズと夜闇の魔法使い-08 ルイズと夜闇の魔法使い-09 ルイズと夜闇の魔法使い-10a ルイズと夜闇の魔法使い-10b ルイズと夜闇の魔法使い-11 ルイズと夜闇の魔法使い-12 ルイズと夜闇の魔法使い-13 ルイズと夜闇の魔法使い-14 ルイズと夜闇の魔法使い-15 ルイズと夜闇の魔法使い-16 ルイズと夜闇の魔法使い-17 ルイズと夜闇の魔法使い-18 ルイズと夜闇の魔法使い-19 ルイズと夜闇の魔法使い-20 ルイズと夜闇の魔法使い-21a ルイズと夜闇の魔法使い-21b ルイズと夜闇の魔法使い-22 ルイズと夜闇の魔法使い-23a ルイズと夜闇の魔法使い-23b ルイズと夜闇の魔法使い-24 ルイズと夜闇の魔法使い-24b ルイズと夜闇の魔法使い-25 ルイズと夜闇の魔法使い-26 ルイズと夜闇の魔法使い-27 ルイズと夜闇の魔法使い-28
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前ページ次ページルイズの魔龍伝 3.使い魔ゼロの学園生活 目を覚ましたゼロが目にしたのは朝焼けが窓に差し込んでいる見知らぬ部屋だった。 ベッドで静かに寝息を立てている少女を目にし自分の今の状況を改めて認識する。 「(そうだったな、俺はこの娘に召喚されてここへ…)」 「んにゅ…クック…ベリーパイ…おいしいわぁ…もっと持ってきなさいよ…ガンダム…」 「…全く良い気なもんだな、このお嬢様は」 それに合わせるかのように寝る前に交わした会話が蘇って来た。 “下着の洗濯”、あまり乗り気しない頼みではあったがやらなかったらそれはそれで騒がれるに違いない。 どうせ子供の着るものだし早い内に済ませて朝の鍛錬でもしようと思い立ったゼロは 剣を片手に、もう片手に下着を掴んでルイズの部屋をそっと後にした。 「…洗濯する場所なんて聞いてないぞ」 が、学園内でルイズに教えてもらった場所を転々としながらゼロは早々に迷っていた。 トリスティン魔法学院で働くメイドの朝は早い。 日も昇らぬ内に起床し、掃除洗濯から貴族達の朝食の準備の支度までまるで戦争のように 総勢でバタバタとこなす。そんな朝の争いの少し前、水を汲みに空の桶を持って走る少女が一人。 ここに仕えるメイドの一人、シエスタである。 「お水を汲んで…洗い物をまとめて…」 「すまないがちょっといいか?」 「あ、はい…ぃいっ!?」 今日の仕事の口にしながら水汲み場まで駆けていたシエスタが振り向くと 標準サイズに比べてはやけに小さいゴーレム(の、ような何か)が立っていた。 人の形を模しているのは何となく分かるが2~2.5頭身と相当に縮められていて まるで子供が遊ぶ組み立て式の人形のような、そんなイメージがした。 「衣服の洗い場を探しているのだが……」 「洗い物ですね、もしよければ私にお任せくださいませんか? この後洗濯物をまとめて洗うので、使い魔さんのご主人のお名前さえ言ってくだされば後で 私がお部屋までお届けしますわ。」 知らない洗い場まで行って女性の下着を洗うという未知の領域の仕事を任されたゼロにとって これは渡りに船であった。 「すまないが…その…これを」 「はい!承りましたわ!」 ゼロが恥ずかしそうにしながらシエスタへ手にした下着を渡し、笑顔で受け取るシエスタ。 が、このメイドの話し振りから一つの疑問が浮き上がる。 「(洗濯・掃除・その他雑用というのは普通使い魔が行うものでは…ないよな、うん)」 昨晩一緒に食事をした使い魔達が思い出されるが、どう考えても火を吹くドラゴンだの 浮いてる目玉だの一般庶務に使うには手に余るどころか部屋が壊れそうな面子ばかりだ。 「ルイズ…俺は召使いか何かなのか…」 「あの…ひょっとしてミス・ヴァリエールの使い魔さんですか?」 「あぁ、そうだが?」 「昨日の事なのに“ヴァリエールの小さなゴーレム”ともう噂になって私達も聞き及んでますわ」 「…へ?」 「皆は笑ってますけど、とても奥ゆかしいのですね。私ちょっと驚きました」 「え、ちょっ」 「それでは私は仕事に戻りますので失礼しますねゴーレムさん」 笑顔のシエスタはそう言うと足早にまた走り去っていった。 「俺…ゴーレムじゃないのに…トホホ…」 朝から何かに負けたような気分に打ちひしがれたゼロであった。 「…フゥッ、ハッ!」 噴水の近くで黙々と剣を振るい朝の鍛錬に打ち込むゼロ。 手にしている剣はかつて彼が手にしていた剣ではない、旅の途中で手に入れた普通の剣である。 彼の相棒は全てを終わらせた後戦友に預けた。 傷つき、全ての力を失った相棒をこれ以上手にする事も、使う事もない。 何より亡き父が残した唯一の形見であったからだ。 ゼロがルイズの部屋に戻るとルイズがふくれっ面でベッドに腰掛けていた。 「あぁ、おはようルイズ。ちょっと剣の鍛錬に」 「使い魔なら起こしなさいよぶぁかーーーーーーーーーー!!」 朝の挨拶は怒号から始まった。 「まったくいつもの調子で起きちゃったじゃないのよ!そこのクローゼットの一番下から下着!」 「え?」 「私に一式着せるのも使い魔の仕事!早くしなさいよ!」 とりあえず下着を出してルイズに渡し、ネグリジェを脱ごうとしているルイズに気づいて 慌て後ろを向きつつ制服を取る。 「服!」 そのままルイズの方へ腕だけ伸ばし制服を渡そうとするが 「着せて」 の一言で遮られた。 朝起こさなかった事とルイズの機嫌の悪さがあり仕方なくルイズに制服を着せてゆくゼロ。 「普通、使い魔に服を着させるもんじゃないんじゃないのか?」 「いいもんアンタ喋れて手足が使える使い魔だし」 「……次からは自分でやれ」 着替えが終わった後は手早く自分の鎧を着けて、共に部屋を後にした。 「あらぁ~、おはようゼロのル・イ・ズ」 「…おはようキュルケ」 部屋を出た二人の目の前に一人の女性が立っていた、長身に燃えるような赤い色の長髪、褐色の肌。 ルイズと同じ制服を着ているが上のボタンはしめられずそこから豊満な胸の谷間が見える。 「で、それが話題の“ヴァリエールの小さなゴーレム”ってわけね~ふぅ~ん」 キュルケがゼロをじろじろと見る。 「何ていう名前なの?」 「俺はゼr」 「こいつはガンダムっていうのよ!うん!ガンダム!」 ぜロが名前を言いかけた所でルイズが割り込んで名前をガンダムだという事にしてくる。 異様なまでに「ゼロ」と呼ばれたくないその態度がゼロとしては少々気にかかっていた。 「ガンダムねぇ…変わった名前だしおもちゃみたい」 「なっ!」 「なんですってぇこのおっぱいオバケ!」 驚くゼロと憤慨するルイズをよそに自信満々な態度で 「私の使い魔見てみるぅ?フレイム~」 と呼ぶとのそっ、とキュルケの後ろから赤い大トカゲが出てきた。 それは昨夜ゼロに肉をあげようとしたあのトカゲ。 きゅるきゅると鳴きながら近寄ってきたフレイムの頭をゼロが撫でる。 「お前か、よしよし」 「…何でガンダムがキュルケの使い魔の事を知ってんのよ」 「昨日飯を食べていたらこいつが肉をくれようとした」 「あらぁ~ご主人様と違って使い魔同士仲良くやってるようじゃな~い?」 キュルケがさも勝ち誇ったような顔でルイズに満面の笑みを見せる。 「…食堂に行くわよ!」 「あ、あぁ」 声を荒げながら足早に去るルイズを追ってゼロも後を追いかけて行った。 「うちのフレイムがそこまで懐くなんてあのゴーレム、何なのかしら…」 しかも今飯って…ゴーレムってご飯食べないわよね?」 「きゅる…きゅるきゅる」 「全くヴァリエール家の使い魔がツェルプストー家の使い魔から 情けをかけられるなんて恥よ!罰として朝食は抜き!」 「理不尽すぎるぞ!」 「いい事?我がヴァリエール家と憎きツェルプストー家の因縁はそれは長きに渡るものよ!」 と、食堂まで歩きながらその因縁とやらを話すルイズ。 耳が痛くなる思いをしながら食堂まで歩いたが、入り口前でルイズがご機嫌斜めに 「さっきも言ったけど朝食抜きだからアンタはここまで」 と言い放った。 「…やはり召喚された時に学院から出た方が良かったな」 空腹が身に染みるのを我慢しつつ、食堂入り口に突っ立っているゼロであった。 授業の時間になり、ゼロは教室の後ろの壁にもたれかかって様子を見ていた。 何人かの生徒がこちらを見ているのが少しうっとおしかったが生徒の方を一睨みすると そそくさと席に向き直る。 「(…俺を何だと思ってるんだ)」 ゼロの横にはフレイムが寝ていた他に、教室に入れるぐらいの中型の使い魔が暇そうにしていた。 窓の外を見ると教室に入りきらない大きな竜(ルイズに聞く所によると風竜というらしい)が 佇んでおり、教室の様子を横目で伺っている。 「…確かにこの使い魔の中では俺は目立つ、か」 生徒がこちらを伺うのは“ゼロのルイズが召喚した変な使い魔”というのが もっぱらの理由であったのにはゼロは気づいていなかった。 「皆さん、おはようございます」 教室に入ってきた中年のふくよかな女性、シュヴルーズの声が響く。 「春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に 様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」 後ろに陣取った使い魔を次々と眺めるシュヴルーズの目がゼロに留まった。 「おや、珍しい使い魔ですねミス・ヴァリエール」 ルイズ以外の生徒から一斉に笑い声が上がる。 「出来損ないのゴーレムじゃ仕方がねーよなー!」 「うるさいわね風邪っぴき!」 「俺は風邪っぴきじゃなくて“風上”だ!ろくに召喚できないゼロの癖に!」 「ミス・シュヴルーズ!このうるさい風邪っぴきに注意して下さい!」 「喧嘩両成敗です」 シュヴルーズが杖を振るうと、ルイズ、そしてルイズと口論していた微笑みデブな男の子、マリコルヌの 口に赤土が一瞬でふさがった。 「罰としてこの状態で授業を受けてもらいます」 赤土を剥がす二人をよそにシュヴルーズの授業が始まった。 授業内容は年度最初の授業、という事でごく初歩的なこの世界における 属性の概要から始まっていた。 「『土』系統の魔法は……この魔法がなければ重要な金属も……皆さんの生活に密接に関係……」 「(生産・加工・建設・農業…魔法が産業の根幹まで関わってるとはな… なるほど、魔法が使える貴族がここまで権力を持つのも無理は無い)」 「(そういえばルイズが魔法を使っているのを見た事が無いな…)」 シュヴルーズの講義を聴きながらゼロはルイズの事を思い返していた。 魔法が使えるのが貴族、あのプライドの高い性格からして誇示の為に多少は使ってもよさそうなのだが 彼女は最初の召喚以外魔法を使っていないのだ。 「(…ま、これぐらいなら聞いても怒られないかな)」 ゼロは近くにいたルイズにこっそりと近寄って疑問をぶつけてみる事にした。 「ルイズ」 「何よ授業中に」 「俺を召喚してから魔法を使ってないよな、何か魔法を使わない理由でもあるのか?」 「アンタには関係ないわよ!」 「ミス・ヴァリエール!使い魔との交流は結構ですがそういった事は後でお願いします」 「すっ、すみませんミス・シュヴルーズ!」 ゼロの質問に思わず語気を荒げたルイズにシュヴルーズの注意が入った。 「では、次に土系統の基礎的な魔法、“錬金”に話を移しましょう」 授業の内容が“錬金”に移る。石を金属に変えるといった魔法でシュヴルーズが実演として 石を真鍮に変えてみせた。 「では…さっきおしゃべりをしていたミス・ヴァリエール、貴女に実際に錬金をしてもらいます」 その言葉を発した途端、教室の空気が一瞬止まった。 「ミス・シュヴルーズ!ルイズに錬金を行わせるのは止めておいた方が良いかと思われます!」 一番最初に口を開いたのはキュルケだった。いつもの軽口ではない、真剣味を帯びた一言。 「そうですミス・シュヴルーズ!ルイズに魔法を扱わせてはなりません!」 「彼女では荷が重過ぎます!」 「ルイズが錬金だなんて絶対無理ですムリムリムリムリかたつむりです!」 等と、次から次へとルイズの錬金に対する警告が周りの生徒から飛び出す。 「ミス・ヴァリエールは大変努力をなされてると聞きました、誰にだって得手不得手がありますから 多少の不出来など気にしなくて結構です。さぁ、やってごらんなさい」 席を立ったルイズが教壇の前に立ち、目の前に置かれた石ころに対して杖を構える。 ここは見守っておきたいゼロだったがその過程までに全ての生徒が椅子の下に隠れたり 席を立って後ろの方の机に退避している様子がかなり気になっていた。 「(…何でここまで大げさな反応なんだ?)」 先ほどの生徒の反応ぶりから今までの馬鹿にしたそぶりは感じられない、確実に“何か”あると 読んだゼロは教室の一番後ろ、入り口近くまで移動してルイズを見据える。 「(杞憂であれば…)」 「ではミス・ヴァリエール、この石を錬金で金属に変えてごらんなさい」 ルイズが呪文を唱えて構えた杖を振り下ろしたその瞬間、まばゆい閃光と轟音と共に石が爆ぜた。 爆発は教室全体に及び入り口からは黒煙がもうもうと立ち上がっていた。 「敵か!?」 ゼロは咄嗟にその場に屈んだのと、ルイズから離れていたためさほど被害は無かった。 爆発の衝撃で暴れる他の使い魔達をよそに、ゼロが立ち上がりながら背中の剣に手をかける。 が、目の前の光景は爆発によって所々崩れた教室と、隠れてジッと動かない生徒達 そして黒板の前に倒れて伸びているシュヴルーズと 教壇の前で傲岸不遜といった感じで腕を組むルイズの姿だけだけであった。 「ちょ~っと、失敗したみたいね」 いつもの調子で言い放つルイズ。 「ふざけるな!どこがちょっとだゼロのルイズ!」 「貴女が魔法を使うといつもこうではありませんの!?」 「今まで成功した試しが無いじゃないか確率ゼロのルイズ!」 「俺の使い魔がアッー!」 隠れていた他の生徒達が猛然とルイズに抗議していた。 「(…“ゼロ”、か)」 ゼロはルイズがゼロと呼ばれている理由と、自分をゼロと呼ばない理由をようやっと理解していた。 「…」 「…」 ボロボロになった教室でゼロとルイズが黙々と片づけをしていた。 シュヴルーズが再起不能になったため授業は中止、魔法を使ったルイズがその責を負い 罰として魔法を使わないでゼロと片づけをしていたのである。もっとも、魔法を使えばこうなので 必然的に自力でどうにかするしかないのは自明の理なのだが。 ゼロは破片や使い物にならない椅子や机を外へ運び出しては新品のものと取替え ルイズは無事だった道具を雑巾で拭いていた。 「主人の問題は使い魔の問題」とゼロも巻き込まれた訳ではあるが ゼロはあまり抗議する気にはなれなかった。無言ではあるが彼女の顔からは悔しさが見て取れたからである。 「ルイズ、この机は何処に置けば…」 「なんで…」 「え?」 「なんで何も言わないのよ…」 ルイズが机を拭きながら唐突に聞いてきた。今まで無言だっただけに少しドキリとするゼロ。 「その…だな…」 「分かったでしょ?私がゼロって呼ぶのも呼ばれるのも嫌な理由」 ボロボロの衣服も相まってかルイズの放つ言葉が痛々しく聞こえる。 「…俺は気にしてはいない、俺をガンダムと呼びたいならそう呼べばいい」 「嘘よ…どうせ心の中では見下してるんでしょ?魔法も使えない、貴族の出来損ないだって」 「ならもっと研鑽を重ねればいい、笑う奴は放っておけ」 「そうやって来たけど…でも…魔法だけは駄目だった…一杯勉強しても、知識を目一杯覚えても… 魔法は応えてくれなかったわ!いつも爆発して、失敗して、ゼロって…」 机を拭く手は止まっておりルイズは体を震わせていた。話している内につい感情的になり 胸の内を、今までの自分を目の前の使い魔に吐露していた。 「ルイズ」 「放っておいてよ!使い魔をやめたいならさっさとここから出てけばいいじゃない! どうせゼロよ!私には何もないのよ!」 こういった癇癪には慣れておらず、どうにもルイズを扱い損ねているゼロであった。 「俺の剣の流派は雷龍剣(サンダーソード)っていう流派なんだ」 「いきなり何よ」 「雷龍剣ってのは一子相伝、つまり継承する人が一人だけだ。」 「…効率悪いのね」 「まぁ、な。そして継承者には技と共に専用の剣も受け継がれる。 それでその継承者を決める戦いってのがあって俺はもう一人の継承者候補と戦ったんだ。 だが俺はそいつに負けてた。なのに最終的に継承者になったのは負けてた俺だったんだよ」 「何でよ」 「相手が言うには“あの剣がお前を選んだ”からなんだそうな、それで相手が辞退した。」 「剣が人を選ぶって…インテリジェンスソードじゃあるまいし」 「さてね」 「で、今の話が何なのよ」 「えーっとだな、うん、今は魔法が使えないからといって決して劣っている訳じゃあない。 実は凄い力秘めているのかもしれないからな、うん」 「で?」 「でだな…その…剣が人を選ぶように使い魔だって人を選ぶと思うんだ。 別に嫌味じゃない、俺がお前に呼ばれたのも何か因果があっての事だろうと俺は考える。 だからだな…あー…せっかく召喚したんだ、俺を信じろ。話ぐらいなら聞いてやるから…」 「もしかして私の事を…慰めるつもりで?」 「あ、あぁ…」 「…ったく、全然慰めになってないじゃないのよ」 たどたどしく話すゼロの姿を見て完全に飽きれきったルイズ。 その姿を見てゼロはとりあえず一安心していた。 「今のはちょっとからかっただけよ、アンタの姿が馬鹿らしくてもう演技する気にもなれないわ」 「ま、そのくらい元気なら涙ぐらいは拭いておくんだな」 「おっ、女はねぇ!嘘泣きが得意なの!だからこれも嘘泣き!」 そう言ってブラウスの袖で顔をぐしぐしと拭いた後、ルイズはいつもの調子に戻っていた。 「あとはやっておくから、ルイズは部屋に戻って着替えたらどうだ? 流石にその格好は俺の目から見てもよろしくない」 「言われなくても着替えるわよ!もう!」 色んなところがボロボロになった服に気づいたルイズは机を拭いた後さっさと教室を出て行った。 「ただのじゃじゃ馬娘かと思えば……やれやれ、複雑だな」 そう呟きながら一人机を運ぶゼロ。とても似つかないものではあったが かつて雷龍剣と共にがむしゃらに父の仇を追っていた自分の姿をルイズに重ねていた。 前ページ次ページルイズの魔龍伝
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前ページモニカがルイズに召喚されました 注意事項 極左と極右で言い争っているので下手を打つと世界観バッシングに見えます。 気に入らない人はスルー推奨。 原作の世界観は尊重しますが順守しません。 好き勝手に書きたい事を書いているので作品として軸がぶれています。 ネタばれですが当面ガンダールブ出て来ません。いらない子です。 さて、この世界のお風呂事情と言うものを書いておこう。 貴族と違って平民のお風呂は湯船なんてものは無い。 お湯を張って肩まで浸かると言う贅沢は貴族だけのものである。 では平民はどうするのか? お湯で体を拭くか、熱した石に水を掛けてサウナを作るのである。 いつもはルイズが風呂に入っている間に部屋で体を拭いているモニカであるが、そのタイミングを逃してしまったのでサウナに来ていた。 と、言う訳で今回はのっけから入浴シーンである。 残念な事に時間をずらして入りに来ているのでモニカ以外は言っていないのであるが。 ルイズがモニカを召喚しました。 第4話。 フェザリアンの悪癖に一つの事に集中すると周りが見えなくなるというものがある。 成功率の低い事柄をすっぱり切り捨て、必要と思われる事を研究する際は種族全体が一丸となって取り組むのである。 彼らは各自役割分担して自分の適性に適った仕事しかしないから高い科学力を持つに至った。 よく言えば諦めがよく、集中力があるとも言える。 逆に言うと一度取り掛かった事以外どうでもよくなる。 モニカはハーフとはいえ母親の特性を色濃く受け継いでいた。 そしてその特性ゆえにしくじったのである。 つまるところハルケギニアの言い回しを調べるのに夢中になった挙句、食事の時間を逃しておまけにお風呂の時間も逃した訳だ。 気が付けば空には天高く月がそびえ立っていて寮の窓からもれる明かりも消えつつあった。 唯一明かりが消えないだろうと思われるのは彼女の主人の部屋の隣である。 あっ、窓から炎が噴き出してる。 モニカは思った。 『ま、仕方ないわね』 諦めと割り切りの良さは流石はフェザリアンである。 そんな訳でモニカはこの世界はじめてのサウナを堪能していた。 こんな時間にサウナを使っている人間なんて居ないから、ベンチにタオルを広げてごろりと寝転がっても大丈夫。 ちなみに世の中には塩サウナなどと言うものがあるが彼女に塩を掛けて「よし、焼き鳥だ」とか言ってはいけない。 サウナと言う物には大きく分けて2種類あって乾式と湿式に分類される。 モニカが利用しているのは湿式である。 正確には乾式の施設を湿式として利用している。 桶に水を汲んできたハーブを溶かし、もともと設えてある石に定期的にかけてやれば湿式サウナのできあがり。 やっている事は石にたまった熱量で部屋を暖めるのではなく水を蒸気に変える事に使っているだけである。 温度調節や湿度調節をしながら入らなければならないのが一手間だろうか? 乾式サウナは喉や肌、もっと言えば髪の毛や羽を痛めやすいことからモニカはこれの使用を避けているのである。 なにより乾式だと室温が100度くらいになるのでリングウエポンが酷い事になる。 リングマスターの最大の敵は乾式サウナだったんだよ! ΩΩΩ<な、なんだってー! 暖かい湯気を満喫していると誰かが入ってくる気配を感じた。 迂闊だった、こんな時間まで起きている人間がいるとは想定外だった。(徹夜組は除く) 仕方ないとすっぱり諦めてドアを開けて入ってきた人間に声を掛ける。 「こんな時間にお風呂に入りに来る人が居るとは思わなかったわ」 「いつもはもっと早いのですけど、あの学院長に図書館の本の整理を頼まれてしまいまして どうも、図書館で派手に魔法を使った生徒が居たようで…」 「それは不幸な事故ね」 「立派な人災だと主張したい所です」 二人そろって苦笑を浮かべた。 こんな時間に入ってきたのはミス・ロングビルだった。 迂闊な生徒の所為で今日は残業のようだ。 「とんでもない秘密を見られたって言うのにずいぶん落ち着いてますね」 「今更バタバタしても事態は好転しないもの」 「あなた…翼人だったんですね」 「………信じてもらえないとは思うけど別種族よ。 半分は人間の血が流れているわ」 「翼が小さいのは種族的な特徴かしら? それとも混血だから?」 「後者よ。 こっちではファザリアンの地位がよく分からなかったからしばらく黙っておこうと思ったのだけど 調べてみたら亜人種はあんまり人間扱いされそうに無い身分だったんで言い出せなくって…」 「私が言うのもなんですけど、ここを離れるという選択肢は? 多芸なあなたなら1人でも生活できるでしょう?」 「そうするのが私にとって一番よさそうな選択肢なのは分かっていたのだけども ルイズを放ってここを出て行く事も出来なかったの」 ロングビルは考えた。 ここは学院長に報告するべきではだろう。 迂闊な同情で自分の身分を危うくする必要はない。 この娘が人間で無いと言う事がわかれば学院長の悩みの種もなくなる事だろう。 あのセクハラが復活してくる事は間違いないだろうがそれを差し引いても最近気の毒になってきたのだ。 フーケは思った。 この娘は何かに利用できるかもしれない。 学園の宝物庫を狙って早2月、滅茶苦茶な強度の固定化とロックに手を出しあぐねていたのだ。 なんでもスクエア数人がかりで儀式魔法をやったらしい。 セクハラにはうんざりでお宝を諦める事も考えたのだが、それでも何でも願いをかなえてくれるという『奇跡の石』は諦めるには惜しい。 マチルダは妹を思った。 外の世界を見てみたいと言うティファ。 きっと彼女も街に出るのなら出自がわからないように偽装するのだろう。 その耳を見せてしまうとみんなが驚いてしまうから。 いきなり召喚された彼女。 そこに味方も居なかった。 気丈に話しているけれどその内心、どんなに心細かったのだろう? そこまで考えた時、天使の声を聞いた気がした。 「姉さん、困ってる人がいたら………助けなきゃ、ね?」 満場一致。 ティファがそう言うのなら仕方ない。 それに子供とはいえ馬鹿な貴族を叩きのめしてくれるモニカが居なくなるのは勿体無い気がする。 この件は自分の胸に閉まって鍵をかけておこう。 あのセクハラ爺にはもうちょっと困っていてもらう。 「…いいわ。 ま、黙っていてあげる。 …信用して無い顔ね? 私も似たような子を知っていてね。 その子も街に出る時は隠して出てくるだろうから」 「私はその子の代わり?」 ロングビルは静かに首を振って答えた。 だってその子が言ったのだ。 「世の中、持ちつ持たれつだって言うでしょう?」 あんまりにも愛らしい声だったからどこの天使の声だと思ったけど、よく聞いてみたらただの妹の声だったよ。 by マチルダ あいも変わらず遅筆で申し訳ない。 2000文字くらい書いてるのに3レス要らなかったのは多分投稿する時の行数を変えたからかな? ボリュームはちょっとパワーダウンしてるだけだと思います。 最近気が付いたんだけど2話位まで私、リングウエポンをリングウエッポンって書いてました。 作品キーアイテムの固有名詞を間違えるなんて恥ずかしい事をやらかしたものです。 穴があったら2000年くらい埋まっていたい… 以下、書いてるときに浮かんだ一発ネタ妄想とも言う。 ごきげんよう ごきげんよう さわやかな朝の挨拶が澄みきった青空にこだまする 汚れを知らない心身を包むのは貴族の名誉とメイジの誇り スカートのプリーツは乱さぬように メイジのマントは翻らせないように ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ ここは王立トリステイン魔法学園 ブリミル様のお庭に集う貴族の園―――――― 名付けて「ブリミル様がみてる」 多分まだ誰もやって無いと思うけどそのうちにやられそうなのでおまけにした。 反省はしていないが後悔はこれからやる予定。 ケティを妹にしてモンモンの嫉妬を受けるギュー子お姉さまとかはやらない。 前ページモニカがルイズに召喚されました
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「ハヤテのごとく!」の綾崎ハヤテが召喚される話 ルイズさんとハヤテくんと-1 ルイズさんとハヤテくんと-2 ルイズさんとハヤテくんと-3 ルイズさんとハヤテくんと-3-2 ルイズさんとハヤテくんよ-4-1 ルイズさんとハヤテくんよ-4-2 ルイズさんとハヤテくんよ-5 ルイズさんとハヤテくんよ-6
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その男は訝しがることもせず使い魔の契約を受け入れた。 どこの田舎者だとルイズが尋ねると、男は辺境の村で農夫をしていたと応えた。 眼に見えて落胆するルイズに何も言うこともせず、その日から男の使い魔としての生活が始まった。 男は有能であった、炊事に洗濯、その他の雑用など男は何も言わず淡々とこなしたし、寝床が床であろうと食事が使い魔のエサであろうと文句一つ言うことすらなかった。 そんな男に馬鹿にされているとルイズが癇癪を起こしたことがあったが、しかしいくら鞭で叩いてもいつもと変わらない陰鬱な表情を崩さない男にルイズの感情は長続きしなかった。 次第にルイズは男のことを気味が悪いと思うようになった。 ギーシュと決闘でそれは頂点に達した。 ワルキューレ達に滅多打ちにされる男、体中から血を流し、常人なら昏倒するほどの傷を受けながら男はいつもの陰鬱な表情をまったく揺らさなかったのだ。 そしてむせ返る血の匂いにギーシュが嫌になり始めたころ。 「気は済んだか?」 ただ一言そういい置いて、折れた足を引きずりながらヴェストリの広場を男は後にした。 誰も一言も口を利けなかった、それは男の雰囲気に呑まれたと言うだけではない。 服が破れ、流れ出た血で赤黒く染まった男の背中には、夥しい数の傷跡が刻まれていた。 その傷の数と、醜く引き攣れた火傷の跡が残る背中が空想のなかでしか戦を知らない若き獅子の子供達を思いとどまらせたのだった。 だがその背中を見ていたのは平和を謳歌する魔法学院の生徒たちだけではなく…… ルイズと男の仲が進展したのは“土くれ”が学院を襲った時である。 これまでルイズは主人でありながら使い魔として男をどう扱っていいか分からなかった。 だが身を挺してフーケの攻撃から庇ってくれたと言うのになんの感謝の言葉も言わないのでは貴族として誇りが許さない。 それからはルイズの別の形で苦悩に満ちた日々が始まった。 どうやって主人と使い魔の形を崩さずにお礼をすればいいのか? そう言うことばかり考える毎日だった。 男の方にもそんなルイズの気持ちは伝わったらしい、いつもの陰鬱な顔を僅かに緩めながら男は今日も雑用と畑仕事に精を出す。 だがもっとルイズは気に掛かるべきだったのだ、どうやって男が破壊の杖――M72ロケットランチャーの直撃を真正面から受けながら僅か全治2ヶ月程度の怪我で済んだのかと言うことを。 そしてついにその時は来た。 「はっはー、燃えろ、燃えろぉぉぉぉ!」 燃え盛る炎、真っ赤に真っ赤に人と家屋と空気を焼き焦がす炎。 その光景を見たとき、男の血は凍りついた。 「――相棒? おい、どうした、相棒!?」 男の異常にデルフリンガーが叫ぶが、しかし今の男にはその言葉は届かない。 「貴様……」 男の声に、先ほどまで炎を撒き散らしながら高笑いを上げていた白髪の男はゆらりと振り向いた。 「ほう、これは見誤っていたようだ。匂いからしててっきり燃えカスかと思っていれば……」 そうして鉄で出来た棍棒のような杖を振り上げる。 「燃え残りの種火の中にこんな極上品が残っていたとはな!」 そしてメンヌヴィルは白く輝くほどの炎を放った、だが今の男にとってそれはなんら障害とは成りえない。 系統魔法を無効化する魔剣デルフリンガーがある上、男にはハルケギニアにはないある技術がある故だ。 男はゆっくりとデルフを構えその切っ先をメンヌヴィルに合わせる、ここ数年ただの一度も抱いたことのない殺意を込める。 不意に視界の端に鏡が映った、おそらく今の自分はおぞましい怪物の顔をしていることだろうと考えて…… 「だめぇぇぇえええええええええええ!」 “頸”を込めた一刀で叩き切ろうとした炎の前に、男の主が飛び出して来たのは次の瞬間のことだった。 まさに刹那の出来事だった。 男を焼き尽くすはずだった炎は一人の少女が身を持って壁となったことで進路を変え、男の隣を通り過ぎていく。 その視界の端には鏡があった、生徒の素行を監視するためその場所で起こったほんの少し前の出来事を記録し映し出す魔法の鏡。 焼け焦げ、爛れたその鏡には男を庇おうとする主の必死の姿と――そして戦魔が映っていた。 「きぃぃさぁぁぁまぁぁぁああああ!!!!!」 男の全ての感情が塗りつぶされる。 主が消えたことでゆっくりと薄れていく左手のルーンがまばゆいばかりの漆黒の輝きを放つ。 それは憎悪。 人一人が紡ぎだしたとは信じられないほどの極大にして純粋な憎悪の輝きだった。 その輝きにその場にいる者全てが心臓の鼓動を打つのさえ忘れ、ただ恐怖した。 炎の蛇もメイジ殺しもそして歓喜に震える白き炎さえ。 自分が死んだと錯覚した。 もっとも血と焔に餓えた盲目の傭兵だけは、二度とその心臓を動かすことはなかったが。 全てが終わった後、男は炎によってルイズの姿が焼きついた鏡を持って姿を消した。 男の名はヴァレル、ヴァレル=アワード。 かつてその陰惨を極める戦い方から戦魔と謳われた一人の傭兵である。 以上、作品は榊一郎氏の「ストラグル・フィールド~鏡のなかの戦魔~」より「戦魔ヴァレル=アワ-ド」を召喚でした。 キャラ的にはコルベール先生とメンヌヴィルを足して2で割った感じの人です。
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ルイズが呼び出したのは数十枚の裏の模様が共通の絵札と腕につけ絵札をセットするために作られたような盤だった。 召喚のやり直しを要求するルイズだが監督のコルベールはそれをそれを却下しルイズにそれと契約するようきたした。 しぶしぶといった感じでとりあえず絵札に口付けるルイズ…だが、その途端ルイズは苦しみだし気絶してしまった。 彼女は医務室へと運ばれていった。 なお、使い魔のルーンはコルベールが確認したところ一番上の絵札の表側に刻まれていた… それによりとりあえず進級の方は認められたようだ。 翌日姿を見せたルイズの雰囲気は激変していた… なんというか今まで品位等には気を使っていたのに衣類は雑に着こなし朝から飲酒。 食堂を出た後には完全にふらついていた。 手には昨日召喚した盤をつけていた… さらに最初のシュヴルーズの授業でも明らかにやる気がなくふざけた態度、激怒したシュヴルーズは 周りが止めるのも聞かず彼女に錬金をやらせたが彼女はめんどくさそうに行った錬金は失敗、 爆発によりシュヴルーズは気絶してしまった。 何人かの目にはいつもと違いまるで成功させるという気概さえもないようにさえ思えた… これらのルイズの激変は召喚したのが変なものだったせいで狂ってしまったようだ…と周囲には認識された。 別にもともと問題児だ。気にするほどでもないと大体の者は思ったが… ただ、元々は成績的問題児だったのが素行的問題児になったというのには参ったもんだと思ったようだが… その様子だ…いつ問題ごとを起こしてもおかしくない… 案の定、昼食時に早速厄介ごとが起こった。 食堂でギーシュが2股がばれたのを飲んだくれていたルイズが思いっきり笑ったのだ。 他の連中も笑っていたがルイズの笑いは他の笑ってる人間が笑いをとめてそちらを見るほど大きく 心底から笑っているようだった。まして今のルイズはチンピラの様… 明らかに自分より落ちぶれた人物に笑われ黙っているギーシュではない。 ギーシュは怒りに任せて彼女に決闘を申し込んだ。ルイズはそれをカモが来たのを喜ぶ様に笑い受けた。 ヴェストリの広場にて対峙する2人。まずはギーシュがワルキューレを呼び出した。 所詮はルイズと侮ってるのか彼女を挑発する。 「先に仕掛けたまえ、無駄だと思うがね」 それを聞いたルイズはそれを鼻で笑う。 「いいわよ…あんたこそ一体だけでいいの?それじゃあつまらないわ…」 やや、酔っ払い気味のルイズのその言葉に怒ったギーシュはワルキューレを7体に増やした。 それを確認したルイズは盤に束ねてセットしてあった絵札を一枚抜き盤の別の場所に置いた。 その瞬間、ルイズの前に竜に近い外見で金属製のゴーレムが現れた。 「なッ!?」 絶句するギャラリーとギーシュ。ルイズは相変わらずの調子で言う。 「ねぇ、ギーシュ。あなたギャンブルってやったことある?なんか、急に興味でてきてさぁ…ちょっとやってみない? こいつはね、頭と手のところに弾丸が3発ずつ装填されてるの…最大装填数は6だから確率は2分の1… このギャンブルでやると最大3回一気に攻撃できるの…じゃあ…始めましょうか!ロシアンルーレット!!」 ルイズがそう言うとゴーレムを構成するパーツの3箇所が回転を始める。そして停止。 「2発アタリね…リボルバードラゴンの攻撃!!ガンキャノンショット!!」 銃弾はワルキューレ2体を粉々に打ち砕いた…動揺したギーシュはワルキューレ1体をルイズへと向かわせるが リボルバードラゴンが前に立ちはだかる。 「話聞いてなかった?この方法でやると…つまり普通に攻撃もできるのよ? 一体だけ向かわすなんてお馬鹿さん…リボルバードラゴンの迎撃!!ガンキャノンショット!!」 その攻撃でワルキューレがまた一つ砕かれた。さらにうろたえるギーシュ。 「あらぁ!?何もしないのぉ!?じゃあ、また私の番ね…リボルバードラゴンの銃弾も装填されたし… ロシアンルーレット!」 再び一部が回転するリボルバードラゴン。そしてまた止まる 「3個当たり…ついてるわぁ…ガンキャノンショット!!」 ワルキューレの数は一気に1体になった。呆然とするしかないギーシュ。 「呆けた隙に銃弾装填♪ロシアンルーレット!!」 弾倉が回る…ギーシュに不吉を告げる弾倉が…と、ルイズが口を開いた… 「ああ!言い忘れてたわ!場に撃つ物がなかったらねぇ…撃たれるのはギーシュあなただから」 「え?」 語られた事実に一瞬呆けるもギーシュは慌てて静止をかける。 「ま、待ってくれ!僕が悪かった!僕の負けでいい!謝るから!許してくれ!」 「許してあげたいのはやまやま何だけどねぇ…一度稼動したら止まらないの… これぞロシアンルーレットってことかしらねぇ?」 ルイズは苦笑いを浮かべた。といってもわざとらしい苦笑いであったが… いや…そもそも攻撃が止まらないといっても目標まで変えられないわけではなかったりする。 つまり、ルイズはギーシュの命で完全に遊んでいた… 「そ、そんな…」 蒼白になるギーシュ。そして弾倉の回転が止まり銃声が響いた… 「…アタリは1発…ワルキューレのみ撃破…運が良かったわねぇ、ギーシュ~?アハハハ!」 気絶し下半身を湿らせたギーシュに向かいそう言うとルイズは去っていった… それから数日後… 盗賊土くれのフーケにより学院の宝物庫から黒き召喚の板なるマジックアイテムが盗まれたらしい… ルイズはフーケの討伐に暇つぶしとでもいうように参加した… フーケのアジトと思われる小屋の前でルイズ、キュルケ、タバサは様子を伺っていた。 3人をここまで案内した学院長秘書のロングビルは周囲を偵察してくるいってといってしまっていた 「で、どうするの?」 「誰か一人がいって様子を見てくる」 タバサが提案する。だが、ルイズが動いた。 「まどろっこしいわねぇ…フーケから攻めさせてフーケを倒した後に回収すればいいじゃないの」 「あんたね。いくらなんでもそりゃあ無謀ってもんよ。大体どうやってフーケの方から仕掛けさせるの? 挑発なんて罠があること丸わかりでしょ?」 「ならこうすればいいでしょ」 ルイズは絵札の束からカードを選び出し盤にセットする。 「罠・魔法カード 守備封じ発動!!」 としばらくして、近くの草むらからロングビルが現れた。だが、様子が変だ。 「ちょっと!?どうなってるんだい!?クッ…」 彼女は杖を振ろうとする。だが、表情や時たま起こる硬直からは自身の動きに抵抗しているような節が見られた。 だが、それを振り切るように彼女の手は杖を振る。その瞬間、地面から巨大なゴーレムが出現する。 「なっ!?」 「!?」 驚愕するキュルケとタバサ。だが、ルイズだけはその事実を淡々と享受し嘲笑を浮かべていた。 「なるほど…ずいぶんとせこい真似してくれるわね…ロングビル…いえ、土くれのフーケさん?」 図星をつかれた彼女は顔を歪ませるもどうやらもう自由になったらしい体でゴーレムの肩に飛び乗る 「チィ…まあいい…お前さんの持っているそれはどうやら宝物庫にあった秘法と同じ物らしい… どうやらその絵札がないと使えないみたいだけど…あんたからいただくことにするよ!!」 ゴーレムが向かってくる。だが、ルイズはあざけるかのような笑みを浮かべ新たな絵札を盤に置く 「出てきなさい…デモニックモーターΩ!!」 次の瞬間ルイズとロングビル…フーケのゴーレムの間にどこか禍々しい姿をした光沢を持つ ゴーレムが出現した。それがフーケのゴーレムを迎撃する。 「デモニックモーターの迎撃!!攻撃名は…そうねぇ…ヴァリエールクラッシャー!!」 デモニックモーターの攻撃…ヴァリエールクラッシャーがいとも簡単にフーケのゴーレムを切り裂いた。 フーケは一瞬呆然となるがすぐにゴーレムを再生しようとする。 しかし、タバサとキュルケが捕縛し決着はついた。 ルイズは遊び足りないと呟いたようだが… 「ところで、ルイズ…そのネーミングセンスはないでしょ?」 「別にいいじゃない」 「…いかす…」 「タバサ!?」 フーケを捕らえたあと小屋に入ると黒き召喚の板…ルイズが手につけてる盤と同じ形をしながらも漆黒に染まった それを発見した。ルイズは自分の手にはめているものを外し、絵札の束もそれから外すと 漆黒の盤にそれをさし込み自らの手につける… 「気に入ったわ…」 レコンキスタの間者であったワルドの魔法がアルビオンの皇子ウェールズの体を貫いた。 「これでウェールズの暗殺の任務は完了だ… さて、あとはルイズ…君さえ素直に言うことを聞いてくれればすんなりことは済む… いうことを聞いてくれないかな、ルイズ?」 ワルドがルイズに問いかける。だが、ルイズは体をただ振るのみ… 怯えていると思ったワルドは彼女に優しく言葉をかける。 「怯えなくていい…君が何もしなければ僕も」 と、震えがとまりルイズが顔上げ…そして叫んだ。 「あ~!?ふざけたこといってるんじゃないわよ!!このカスが!! 私はあんた如きの命令をきくなんざクソ食らえよ!!」 「ッ…ならば仕方ない…ウェールズの後を追って…!?」 ワルドは気づく…いつの間にかウェールズのいた場所の付近に霧が出現しているのに… その霧の中から何かが出てくるのに…それはおそらく入れ物…そう思えた… 「皇子様の後ぉ!?何言ってんのよ?ほら~!」 その入れ物が開く…中から現れたのはわけのわからないといった感じの表情のウェールズ。 「なっ!?」 「罠カード発動…タイム・マシーン!!あんたにやられる前の皇子様をおとりにしてそのちょっと前の皇子様を 呼び寄せたのよ…残念だったわね」 「クッ…ならばもう一度!!」 ワルドが杖を振り魔法を放つ。状況を理解してないウェールズは回避できない。と、 「アハハハ!!罠カード発動!!メタル化魔法反射装甲!! 殿下…失礼ですが少しの間、体をメタル化させてもらうわ!!」 ルイズのいうとおりウェールズの体は金属となる…それにワルドの魔法が直撃する。 それを見て愉快そうにしながらルイズはワルドへと口を開く… 「この罠はねぇ…対象の体をを私のモンスターと同じ…対魔法仕様フルメタルに変化させるの… そして…」 次の瞬間、ウェールズに命中した魔法はワルドの元へと反転し向かう。 「魔法攻撃を攻撃してきた馬鹿のほうに反射させるの!! ちなみに私が横に侍らせてるのも反射はしないけど魔法は効かないわよ?残念だったわね。 そしてあんたの魔法の攻撃力を殿下の攻撃力に変換!! 殿下の攻撃力も400ポイントアップした…微弱ながら攻撃力は逆転したわ!」 跳ね返った魔法がワルドに直撃しワルドが消える… 「チッ…遍在か」 「そういうことさ…」 ルイズの前に3人のワルドが姿を見せる。 「本体は別の場所さ…まさか、君がここまでやるとは思わなかった…今回は退かせて貰う」 「逃がすか…くたばれ!カスが!!」 ワルドの遍在…その一人の首に奇妙な輪が装着される。そしてそれが爆発しワルドの遍在一体を消し飛ばした。 「無駄だ…なっ…!?」 瞬間…残りのワルドの遍在が消えた… そして彼の本体は… 「馬鹿な…」 口から大量の血を吐き出し…そして崩れ落ちた… 「フフフ…罠カード 破壊輪…自身の分身で近しい能力を持つ遍在を破壊した… ダメージは甚大でしょうねぇ…生きていても味方に救出してもらえるか…それともそのまま力尽きるか…」 ルイズが対するは7万の軍勢…その軍勢を前にしてもルイズの表情は変わらない。 その表情は相変わらず相手を舐めきった傍若無人なものだった… 「アハハ!…嬲り殺しがいがありそうねぇ…それに上も私一人に殿を任せてくれるなんてわかってらっしゃる!」 ルイズはそういいながらいつものように…それでいて少し厳かに絵札の束から一枚の絵札を選び…抜いた… その札に語りかける… 「あ~…はいはい、わかってるわよ…そろそろ、私を遊ばせるだけじゃつまらなくなってきたんでしょ? …ったく…いいわよ…思う存分暴れ狂いなさい!!」 叫びながらルイズは絵札を漆黒の盤の上に置く…いつもより重たい雰囲気が漂い… そしてそれは出現した…邪悪なる波動を持つ凶つ神… ルイズのコントラクトサーヴァントにより絵札にルーンが刻まれしもの… それを利用し、自らの力を増幅し自らの元々の邪悪なる力と元々の持ち主の病んだ魂の残光によりルイスを蝕んだ… その存在の名は 「邪神イレイザー!!!」 降臨したそれにアルビオン軍は一瞬ひるむ…だが、それに向かっていく… それが圧倒的な存在感を放っていても… と、ルイズが呟く。後から呼び出したリボルバードラゴンの上に乗りながら… 「邪神イレイザーの攻撃力は敵の物量に依存する… あたしを蝕んだ癖にとんだヘボい能力だけど… 相手は7万…敵1つにつき1000ポイントらしいから…7000万…これなら充分やれるでしょう?」 向かってくるアルビオン軍を迎撃せんと邪神は口をあける。 「邪神イレイザーの攻撃!!ダイジェスティブ・ブレース!!」 その攻撃は一気に多数のアルビオン軍を消し去った… しばらくして…邪神は弱っていた…邪神の力は敵が多ければ多いほど高まり少なければまた弱まる… 弱まった邪神は確実にダメージを受けていた。 どうやら魔法に対し抵抗自体は持っているようだがルイズがそれまでに使用した存在たちと違い 完全に受け付けないというレベルではないらしい。 そしてついに邪神が倒れる。 その様子をルイズは笑みを浮かべ見ていた… 「あらら~…やっちゃった♪」 ルイズがそう呟いた瞬間だった…邪神の体からそのサイズを超える量の黒い…血液が流れ出した。 それは戦場一帯に染み込み血の池を作っていく…そして… 「…この馬鹿使い魔はね…やられるとその場にいた他の連中も巻き添えにするの… 味方がいると巻き添えにしちゃうしホントこんな時にしか役に立たないわね!! まったく使い勝手が悪いったらありゃしないわ!! …フフフ…アハハ!!!」 ルイズがそういった瞬間…血の池はその場に存在するすべてを飲み込んだ…主であるルイズさえも… だが、飲み込まれる最後までルイズの顔は快楽に歪んでいた… 数日後…血の池に飲み込まれたはずのルイズはトリステインへと帰還する… その時、彼女の無事を尋ねた者たちにルイズはこう語ったという… 「地獄ってのもなれりゃあ、結構快感なものなのねぇ…何であんなにみんな苦しがるのかしら?」 こともなさ気にそういったルイズに人々は恐怖した… もはや彼女は魔法のつかえない落ちこぼれで嘲笑の対象ではなかった…彼女の方が人々を嘲笑する… 魔法を受け付けぬ鋼鉄の襲撃者達… そして、それをも凌ぐすべてを無(ゼロ)に帰す凶つ神を従える… 敵から希望も命もすべてを快楽を以てして無に帰す彼女を侮蔑の意味を込めて改めてこう呼んだ… ゼロのルイズ…と…
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魔法少女おりこ☆マギカ 外編 より 美国織莉子を召喚 ゼロのルイズとオラクルレイ 01 ゼロのルイズとオラクルレイ 02 ゼロのルイズとオラクルレイ 03
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前ページ次ページモニカがルイズに召喚されました 何日かこの魔法学園と言う場所で過ごしてみて分かった事がある。 ここの人間は節穴だ、その上程度が低い。 モグラやサラマンダーなんかを呼び出すより人間を呼び出せる魔法使いの方がすごいに決まっている ではないか。 モグラのように地に潜れなくても、ドラゴンのように飛べなくても、サラマンダーのように火をふけなくて もこの世の中で一番繁栄しているのは人間である。 間違いない。 他のどの使い魔にだって学院の住み込みの下働きの人間と交渉してくる事も、街にお使いに行く事も 酒場で情報を集めてくる事も、主人の変わりに潜入して視覚を共有する事で偵察するなんて芸当は 出来ないに違いない・・・最後のは契約していないから彼女にも出来ないが。 程度の低さは教師が主張を一貫させていない時点で仕方が無いのだとも思う。 周りから「失敗する」「危ない」と注意を受けているのにどんな危険かを確認せずに「失敗を恐れては何も出来ません」と言って実習を行わせ、失敗(いつも通り派手に爆発した)したら罰則を課すのである。 「失敗を恐れずにやりなさい」という言葉には普通、失敗してもペナルティは掛けませんと言うニュアンスを含むものである。 罰や減点の対象としてしまうのなら失敗を恐れずに挑戦するなんて出来るはずが無い。 教育者として軸がぶれている。 「おやおや、また変わった使い魔を召喚したものですね」とか自分から煽っておいたくせに同調した生徒をしかっているのも気に食わない。 これでは筋を通せる生徒を育てるのは難しいだろう。 「ほら、手が止まってるわよ」 「ごめんなさい、ちょっと考え事していたものだから」 「なによ。 やっぱりあなたも私が魔法を使えない事を馬鹿にしてるんでしょ」 「相手を馬鹿にして、優越感を得るような低俗な趣味は持ち合わせていないわ。 だって、そんな事をしても意味が無いもの。 そんな暇があればどうすれば自ら高みに飛べるかを考えて実行するべきだわ」 「…がんばってるのに結果が出ないときはどうすればいいのよ?」 「それはアプローチの仕方が間違っている可能性があるわね」 「ここは、ハルゲニア大陸有数の教育機関なのよ? ここの教え方が間違っているならどうしょうも無いじゃない!」 ルイズは真面目で勤勉だった。 色んな教師に教えを請うて魔法の使い方を試してみた。 だが、ルイズが魔法を使えるようになる方法を開示できる教師はただの1人も居なかった。 そう、残念な事に。 では文化の違う…もっと言えば異世界のやり方でならどうだろう? モニカはこの頃からそんな事を考えていた。 ルイズがモニカを召喚しました。 第二話 使い魔と言う身分を把握しているモニカは他の使い魔たちと食事を外で済ませてくると、主人の食事が終わる頃を見計らって食堂に合流する。 ここ最近のパターンである。 ただこの日はちょっとしたイベントが起きた。 高価そうな小瓶を拾ったのだ。 鮮やかな紫色した香水はきっと大切なものだろうと考えた彼女は、小瓶の落ちていた位置から落とし主を推測するとその男に声を掛けた。 つまりギーシュ・ド・グラモンに対してである。 「これ、落としませんでしたか?」 「いや、知らないな」 「そうですか。 すいませんでした」 素直に頭を下げた後、彼女は辺りに向かって話し始めた。 「みなさん少し話を聞いてください。 落し物です。 綺麗な紫色の香水瓶の持ち主の方はいらっしゃいませんか?」 「見事な紫色だな。 もしかしてモンモランシーのものじゃないか?」 「うむ、これほどまでに鮮やかな紫色は『香水』のモンモランシーが作った香水に違いない」 「そうだ、これはミス・モンモランシーのものだ」 現れるモンモランシー。 慌てるギーシュ。 そこをお約束のようにケティに目撃される。 「ギーシュ。 落し物よ。 私だと思って大切にしてくれるって言ってくれたのに駄目じゃない」 「ギ、ギーシュ様。 やっぱりミス・モンモランシーと…」 使い魔の対応がどうであっても結局修羅場に発展するギーシュに乾杯。 「いや、モンモランシー。 誤解だ。 誤解なんだ」 「何が誤解よ!」 「彼女とは一度だけ遠乗りに行っただけで… 僕の心に住んでいるのは君だけだ。 お願いだよ。 『香水』のモンモランシー。 咲き誇る薔薇のような顔を、ゆがませないでくれよ。 とても悲しくなってしまう。 ああ、そうだ。 セビリア座の新作オペラのチケットがあるんだ。 誤解させてしまったお詫びに次の虚無の曜日に一緒に行こう。 うん、それがいい」 モンモランシーと呼ばれた縦巻きロールの少女はテーブルに置かれたワインの壜を掴むと、中身をどぼどぼとギーシュの頭の上からかけた。 「これで頭でも冷やしなさい」 そしてくるりと身を翻すと風のように去っていった。 沈黙。 「ふぅ、彼女達は薔薇の存在意義を理解していないようだ」 「浮気がばれただけじゃない」 爆笑。 「何かっこつけてるんだ」との野次にムキになって言い返す。 とにかく二股だの浮気物だのそう言う風評は彼のプライドが許せなかった。 まったくこの生意気な子供め。 「だいたい君が軽率に香水の落とし主を探すものだから、二人のレディの名誉に傷がついてしまった。 どうしてくれるんだね?」 「高価そうな香水が落ちているならそれを落とし主の所に届けるのは当然の事でしょう? 別に私の行動に非は無かったわ」 「いいかい? ボクは知らないフリをしたのだよ。 こう言う時は気を利かせて、あとでこっそりと届けてくれればいいんだ」 「そうやって逆恨みで誰かに八つ当たりしているようでは、あなたの底が知れるわよ? これから誰かとよりを戻そうと言うのならまずいのではないかしら?」 「言ってくれるね。 ここまで平民に馬鹿にされるとは」 「貴族じゃなければ全部平民とか、よその国の文化への敬意が微塵も無いのね。 実力主義で貴族を取り立てるゲルマニアを野蛮な国とか言っているだけあるわ」 「くっ、平民ならば謝れば許してあげようと思ったが仕方ない。 そうじゃないと言うなら決闘しよう。 貴族ではないとはいえ平民で無いというなら自分の誇りくらい守れるはずだな?」 「自分を省みない人に付き合う義理なんて無いわ」 「こうまで言われて怖くて逃げるのか? やっぱり平民じゃないか。 まぁいい、ゼロのルイズの使い魔じゃ仕方ない。 どうせ彼女には使い魔の躾なんて出来ないだろう。 行って良いよ」 「聞き逃せない言葉を聴いたわね。 私への侮辱なら聞き流してあげてもいいけど、分かったような顔してルイズを侮辱しないで貰おうかしら?」 モニカはあれから使い魔に隠れてこっそり魔法の練習をしている自分の主人の事を結構気に入っているのである。 呼び出したのが生意気な子供であるがサモンサーバントには成功したのだ。 きっとそのうちに他の魔法も成功するに違いないと爆発を量産する毎日である。 もしかしたらそんな彼女に滅亡に向かう世界に居残ってみんなを助けたいと言った『誰かさん』を重ねてみたのかもしれない。 彼女の伯父ならば「無駄な事だ」と一言で切って捨てただろう。 けれどもモニカにはその一見無駄な所がとても好ましく思えるのだ。 一見無駄でも何処でどう繋がるか分からない人間のそのみっともない努力を。 思いがけず挑発に乗ってきた事に気をよくしたギーシュは格好を付けてこう言った。 「食堂を血で汚す事も無いだろう。 ヴェストリの広場で待っている」 「同感ね。 でも場所が分からないから、案内して頂戴」 『決闘しようと言う人間が2人でなかよく並んで広場まで行くなんて決闘っぽく無くていやだなぁ』とか考えているギーシュも 大概平和であるが、なんでも効率優先の彼女にそう言う事を理解させようと言うのがそもそもの間違いである。 食堂の入り口のあたりでルイズが追いついてくる。 これ幸いにモニカをルイズに押し付けて先に行ってしまうギーシュ。 「あんた、私のために決闘引き受けたってどう言う事よ?」 「使い魔はご主人様の事を守るものなんでしょう? 安心していいわ。 私は勝ち目の無い戦いはしないから」 「よくないわ。 あなたはちっとも分かってない。 平民がメイジに勝てるわけ無いんだから!」 「だから平民じゃないって言っているのに…」 「あのね、メイジが平民の上に君臨するのはその絶対的な力ゆえなの」 始祖ブリミルに授かった神聖な力と権威がどうのこうのと説明を受けた。 スキルの希少さと戦闘力の高さからキルシュラーンド大陸のリングマスターを思い浮かべる。 でもやっている事はシェルフェングリフ帝國の貴族と同じように思う。 ギーシュを見ているからだろうか? いかんせん貴族=優れた者と言うイメージは結びつかなかった。 「でも例えば1日に30人の平民と戦えば流石に精神力も尽きると思うのだけれど? そうなったのなら日頃体を鍛えている平民にも勝ち目が有ると思うの。 そう言うのは絶対って言うのでは無いわ。 問題は反抗しようっていう気概の無い平民の方に有るのではないかしら? それに彼はドット・メイジなのでしょう?」 「ドット・メイジでも平民とは絶対的な差があるのよ!」 力一杯不当な評価を受けている気がするが自分の身を案じてくれている事だけは分かる。 広場に着いてしまったので「勝てないと分かったら素直に謝る」と言う事だけ約束してギーシュの前にたった。 「礼式にのっとって、名乗りを上げさせてもらう。 ギーシュ・ド・グラモン。 二つ名は『青銅』 青銅のギーシュだ」 「ピート・アレンの娘モニカ。 ゼロのルイズの使い魔をやっているわ。 決着の方法はどうなっているのかしら?」 「どちらかの戦闘不能か、降伏の言葉をもって終了と言う事でいいだろう。 それとボクはメイジだから魔法を使わせてもらう。 よもや文句はあるまいね?」 捧げ持った薔薇の形をした杖を振るうと落ちた花びらの一枚がゴーレムとなって立ち上がる。 「なんて言うか…なんでもありね…」 「だから言ったでしょう!? 平民は貴族には勝てないんだって!」 彼女の世界ではゴーレムと言うのはもっと手間が掛かる。 闘技場の裏を見せてもらった事があるのだ。 何故そんな経験があるのかといえば、某ダークロードのインフェルノ一発で吹き飛ばされるので流石に泣きが入ったのである。 職人が丹精込めて体を作り、魔法使いが何日もかけて魔化を施したそれはまさに芸術品であった。 「おのれクレイブ!」との掛け声と共に放たれるストレス解消のための一撃で吹っ飛ぶのだが。 まさに非道。 「じゃあ、私はリングマスターだから、リングウエッポンを使わせてもらうわ。 もちろん文句は無いわよね?」 答えは聞いていない。 言うが早いがいつの間にか両手に持っていた8本の投げナイフを投げつける。 あっと言う間に青銅のゴーレムはハリネズミになって倒れた。 投げたはずなのにモニカの手には8本のナイフが握られている。 ※青銅はまがりなりとも金属です。 「もう終わりかしら?」 「ぼ、ボクのワルキューレが…」 誰が見ても一目瞭然だ。 ギーシュが錬金でゴーレムを作って攻撃させるよりモニカが投げナイフを突き立てるほうが早い。 第一、ミスリルゴーレムとかとやり合っていた経験のあるモニカにブロンズゴーレムなんて敵じゃない 「どんな魔法だ」 「魔法なのか? あの使い魔、杖なんて持ってないぞ?」 「先住魔法か? 詠唱さえ聞こえなかったぞ?」 いえ、どう見ても連続攻撃+3の精霊石です。 本当にありがとうございました。 >< 「…いまさら…いまさら後に引けるものかぁぁぁ!」 錬金して作った6体のワルキューレのうち3体がハリネズミになって、2体が石化し、1体がモニカまで肉薄するも 0距離からナイフを突き入れられて機能を停止した。 モニカの手には再び8本のナイフが作られる。 無表情な視線の先にはギーシュの姿。 「ちょっとあなたギーシュを殺す気? もう止めて、ギーシュの精神力はもう0よ。 精神力が尽きたらメイジも平民も変わらないって言ったのはあなたでしょう?」 「彼は私に決闘を申し込んだわ。 つまり他の人たちが平民の子供と言っている中で、彼だけはきちんと判断力を持っている個人だと評価してくれているのよ。 私には彼の最低限の名誉を守る義務があるわ」 「もうこれ以上ないくらいぼろっかすじゃない!」 「でもまだ彼は嘘をついてない。 彼は『私に2人の女の子が恥をかいた事に対して謝罪させる』為に戦っている。 私にはそれが理に適っているかどうかなんて分からないし、この国の文化からしてもおかしいのかもしれないけれど どんなに自分を正当化させる為の方便でも、そう宣言したからには彼の中では自分の誇りなんかより重要な事が有ると言う事なのよ。 それで負けたとしても彼には自分が馬鹿にされたからではなく、2人の女の子のために命を懸けて戦ったと言う事実だけが残るわ。 さぁ、続けましょう。 青銅のギーシュ。 もちろん、彼女達の誇りを守る為なのだから、魔法が使えなくなったくらいで降参しないわよね?」 「ひどいな、君は」 あの何を考えているか分からない少女が無表情にこちらを見ているのがたまらなく怖かった。 ワルキューレを打ち倒したナイフが次にねらっているのはこの身だろう。 勝てない事は十二分に分かっていた。 それでも動かなくなったワルキューレから武器を取り上げた。 選んだのは槍。 ギーシュはこの期に及んで一太刀浴びせる事を考えている。 レイピアのような優美な武器ではなく少しでもリーチを伸ばそうと考えた武器選択である。 「本当にどうしょうも無いな、僕は、どうしていつもこうなんだろう? そんな事を言われたら本当に引けなくなってしまうじゃないか」 どう考えてもその構えは素人のものだ。 槍の重さが移動スピードに及ぼす影響を考慮すれば武器の選択も甘い。 それでもこのギーシュ・ド・グラモンと言う男のすごい所は本気で2人の女の子の為にこの場に踏み止まらなければならない と考えている所である。 彼女達のために起こした決闘だと言う事にしてしまった。 だから怖くても退く事が出来ないのである。 好きになった女の子の為にみっともなくなれる立派な男の子がそこには居た。 薔薇を模した杖ごと青銅の槍を握りこむと突撃を開始した。 「格好を、付けたくなってしまうじゃないか!」 相手がこちらの急所をねらってくる可能性を捨てて、それ以外の部位への攻撃へと集中する。 槍を構えていて体は半身になっている事も幸いした。 1射目8本のナイフを危なっかしい足取りで避ける。 2射目はバランスを崩しながら槍で叩き落す。 3射目が足をかすり、4射目が肩口を刺し貫いた。 外野から悲鳴が上がる。 それでも彼は倒れなかった。 驚いた顔をしているモニカに向けて気合一閃槍を突き出す。 あっさり受け流されて懐にもぐりこまれるがそれは囮。 本命は本当になけなしの精神力で作り上げた、杖にまとわせた魔力の刃(ブレイド)。 槍を落とすと近接戦闘の基礎も出来ていないモーションで振り下ろした。 飛んでいく青銅で作った薔薇の造花。 モニカのナイフはギーシュの首筋に突きつけられている。 「チェックメイトね」 「駄目か、参った降参だ」 前ページ次ページモニカがルイズに召喚されました
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前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝 第一章~旅立ち~ その1 ムサシ登場!! そして旅立ち 小規模なクレーターを前にへなへなと崩れ落ちる少女。 傍らには頭髪の寂しい男性、遠巻きに見つめるのはたくさんの少年少女。 その少女は幾度とない失敗により、爆風と嘲笑を浴びていた。 爆風、というのは彼女の発した魔法によるもの。 というのもピンクブロンドの少女、名をルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 名家ヴァリエール家の三女として、その才を遺憾なく発揮……していない生徒の一人である。 彼女の放つ魔法は、全て爆発という現象に現れる。 『開錠』を行えば扉ごと吹き飛ばし、『錬金』を使えば素材を粉微塵に破砕する。 それ故皆からの嘲りを浴び続ける学院生活を送っていた。 そして、長い一年が終わり進級試験、『春の使い魔召喚』の儀。 皆がルイズが再び一年生となるぞ、と囃し立てていた矢先のことだった。 いよいよ順番が最後、ルイズの番になり、杖を構える。 緊張の為か微かに震える手を振りかざし、呪文を唱え振り下ろし……虚空が爆発した。 まただ、ほらみろと嘲笑の声が飛ぶ。 何度となく、その光景が繰り返される。 次第に少女の慎ましやかながら可憐な容姿は土に塗れていく。 教師の静止も振り切り、傷だらけの体を奮い立たせて杖を振りかざした。 彼女の誇りが、諦めることを許さなかった。 「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ……神聖で美しくそして強力な使い魔よ!」 半ば涙目になりながら詠唱を行う。 決めたのだ。 ここで自分の忌まわしき異名を払拭するのだと。 初めての魔法はここで完成させる! その思いだけで、彼女は体を動かしていた。 「私の呼びかけに……答えてっ!」 杖を振り下ろすと、もう何度も体験した感覚。 目の前が白熱するだけ。 今までにない、一際大きな爆発だった。 いい加減にしろ、驚かせるなと心ない声が飛ぶ。 しかしややあって……皆が、沈黙した。 異様な静けさを感じたルイズが前を向くと、煙に遮られた何者かの陰。 「……やった……」 自分は成功したんだ。 このトリステイン王国の魔法学院に入学してから、ただの一度も成功しなかったこの自分が。 皆に不名誉な二つ名で嘲られ、幾度となく挫けそうになったこの自分が。 皆と同じ魔法を、使えたのだ。 失敗していたら留年となる所だったが、これで再び一年生をやらなくてもいい。 ひどく安堵し、よろよろと立ち上がる。 「……さあ、何なの……?私の、私だけの使い魔!」 期待に小さな胸を膨らませ、埃塗れのブラウスを叩く。 土煙が晴れ、その何者かの姿を初めてその目にした。 何か聞こえる、鳴き声だろうか。 いや、それにしては小さい、よく聞けば穏やかな呼吸音……いや、寝息? 「……子ども?」 驚愕する。 何しろ、目の前にいたのは眠りこけた少年。 小柄なルイズよりさらに頭一つぶんほど小さな少年だった。 しかも、なんともみすぼらしい格好の。 「おい、ぼろを着た子どもだ!」 「ゼロのルイズが物乞いのガキを召喚したぞ!」 「なっ……!」 異変に気がついた生徒達が、召喚対象である少年を見て囃し立てる。 ルイズは頭に血が上りかけたが、しかしよくよく見れば確かに言うとおり。 伸びっぱなしの長髪は頭頂部で束ねてあり、よれよれの上着に足にはボロ靴を履いている。 汚いベルトで留めた見慣れぬ装束を纏い、ひび割れた眼鏡を額にかけていた。 まず、いいところの出ではあるまい。 「おい!失敗したからってその辺の乞食を連れてくるなよー」 「さすがゼロのルイズ」 心無い言葉にきっと振り返るが、言い返すより早くルイズは教師に向けて叫ぶ。 「ミスタ・コルベール、やり直しを……!召喚のやり直しを、させてください!!」 「……残念ですが、それはできません」 「そんな!」 対してコルベールの返答は否定だった。 納得の行かないルイズは尚も迫る。 「人間を使い魔にするなんて、聞いたことも……!」 「だとしてもです。人間であろうと、召喚された以上は契約しなければなりません。 それにこのままではあなたは留年することになってしまいます。私としてもそれはとてもとても悲しいことです」 ルイズの悲痛な訴えにも、教師としてコルベールは首を横に振らざるを得なかった。 この春の召喚の儀式は神聖なもの、やり直しという特例は認められない。 彼女に残された道は、あの少年を使い魔とする他に無いのであった。 聡明な彼女はそのことを重々理解していた。 それ以上食い下がることもなくただただがっくり項垂れることしかできない。 やがて諦めたように、横たわったままの彼女の使い魔となる少年に歩み寄る。 「まったく、どこの子どもよ……なんでこんなチビっこなんかと、私が……」 サラマンダーやら風竜やらの素晴らしい使い魔を目にした後だからか、よけいに落胆は大きい。 やがて大きく溜息をつき、観念したように横たわる少年に顔を近づけた。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え我の使い魔と為せ」 唇と唇がそっと触れ合う。 異性とこんなことをするなんて生まれてこのかた初めてだったので、ひどく動揺する。 だが相手は子ども、それにこれは儀式上必要なことだ。 ノーカンノーカンとクールに振舞ってみるも、なんだかほかほかしてきた。 頬が熱くなっていることを自覚する。 自らぽかぽかと頭を叩いていると、少年が突然叫びをあげる。 「うわっちちちちちちぃーーーっ!!!」 「きゃ!」 思わぬ反応に思わずその場から飛び退いてしまうルイズ。 少年は熱の根源であろう左手を抑えて、熱さの余り転げまわっていた。 朱塗りの篭手を外すと息をふうふうと手の甲に当て続ける。 「だ、大丈夫?使い魔のルーンが刻まれているだけだから、すぐに済むわ」 「なんだぁ……?ここは、どこだ……?」 「ふむ、コントラクト・サーヴァントのほうは問題ありませんね。おめでとう」 やがて少年が大人しくなり、自分の手を見て目を見開く。 近くにいたルイズに気がつくときっと向き直り、ぴょんと軽い身のこなしで立ち上がった。 近づいてくるその身体はやはりルイズよりも小さい。 歳のころは10そこそこであろうか、意志が強そうな眉と瞳をこちらに向けた。 「やいお前!ここはどこだっ!おいらに何をしたっ!?」 「なっ……」 「……ああっ、よく見りゃ手にイレズミなんてしやがって!島流しにあった覚えはないぜっ!」 声変わりも澄んでいないであろうよく通る声で騒ぎ立てる。 明らかな年下、それも乞食かなにか身分の低いであろう者に怒鳴られたことに、 ルイズの頭はかっと熱を持った。 「へっ……平民の分際で、貴族にそんな口の聞き方を!」 「何ィ!?」 「ミス・ヴァリエール冷静に。ふむ、珍しいルーンですね」 肩の荷が降りたコルベールは、とりあえず目の前の少年に対する疑問はさて置いておく。 手早く少年のルーンを書き写して、見物していた皆に呼びかけた。 「これにて召喚の儀式は終了です。各自学院に戻るように」 呼びかけるとふわりと宙に浮かび、ここからも見える学院の大きな屋根に向かって飛び立った。 同じく生徒たちも空へと舞い上がるが、意地の悪そうな笑みを浮かべ口々に野次を飛ばす。 「ゼロのルイズ!お前は歩いて来いよ」 「『フライ』も『レビテーション』もロクに使えないんじゃあ仕方ないな!」 嘲笑を浴びるも、今は目の前の少年のことで頭がいっぱいなルイズは振り向きもしない。 しかし少年の方は、空中を見つめて驚いた表情だった。 「あいつら飛びやがった!妖術使いか?」 「……メイジが飛ぶのは当然のことじゃない」 「メイジだかショウワだか知らねえが、いよいよおかしいぜ!ここはどこなんだ?」 「はぁ……とりあえずついてきなさいよ、戻るから」 何も知らない使い魔に、やはり世間にも疎い乞食なのかと頭を抱え込む。 溜息を禁じ得ないが、頭から少しずつ説明してやりながら学院への帰路へついた。 「……でね、あんたは召喚されて、私の使い魔にならなきゃいけないの」 「召喚?おいら、また召喚されちまったってのかっ!?」 また?おかしなことを言うものだ。 そんなにしょっちゅう人間が召喚されるなんて聞いたこともない。 まあ、召喚を理解しているフシは説明が省けて好都合だ。 「物分りがいいじゃない、でね、あんたは私の使い魔として……」 「まあいいや。今度こそとっとと済ませて、こんな世界とはおさらばだぜ」 「ちょちょ、ちょっと。何言ってるのよ」 「ん?」 前言撤回。 自然と帰る流れになったのでルイズは慌てて止める。 この使い魔召喚が理解できていたり放棄する気でいたりといろいろおかしい。 ルイズのフラストレーションが積み上がっていく。 「あんたは私の使い魔をやってもらうのよ!何よおさらばって」 「だから、その用事を済ませりゃ元の世界に戻れるんだろ?」 「元の世界?ああもうわけわからないわね!あんたはずっと使い魔!ずっと!」 「なんだって!?ずっと!?」 「ずっとよ!」 「そんなバカな!」 「知らないわよ!こっちだって、あんたみたいなチビで! ヘンなモミアゲな奴なんか!召喚したくなかったわよ!」 「くっまたそう言われるのかよ!?なんだってんだこのチンチクリン!おてんば!」 「キィィィーーーーッ!」 爆発した。 小さいもの同士がぎゃんぎゃんと騒ぎ立てながら追い掛け回したり小突きあったり。 学院に帰るまで、それは続いた。 「……ぜい、ぜい、ぜい……」 「おい、大丈夫かい?」 「う、うる……さい……ぜんっぜん……大丈夫、よ……」 はたから見れば本当に子供の喧嘩のようなことを年甲斐もなく延々と続けてしまったルイズは、 やがてゼイゼイと息を整えながらルイズは立ち止まる。 少年はしばらく落着くのを待ってくれていたが、溜息をひとつ大きくついた。 「ま、いいや。終わっちまったことをいつまで言ってもしょうがねえ」 「へ?」 「使い魔だかなんだか知らないけど、おいらがやりゃあいいんだろ?」 「あ、ああそう……なによ急に」 実にあっけらかんと了承してくれたのは意外だった。 子供らしく聞き分けなく反発するか勝手にどこかに逃げ出したりするかと思っていたが。 彼は案外、さっぱりした人物だったのかと納得する。 とりあえずこれで留年する心配はなくなった。 「見たところ、空飛んだりなんだりで面白そうな奴らがいっぱいいるみてえだし」 「面白そうな……魔法をそんな言い方しないでよ、そりゃまいっぱいいるわよ」 少年の顔つきが変わる。 先程までの疑心を帯びたそれではない、もっと単純な感情。 心の奥から湧き出るような、原始的で直情的なその感情。 『楽しんで』いる。 ひとつの冒険は終わった。 しかし、彼の冒険が、また始まるのだ。 「妙にワクワクしちまうぜ!」 「……あんた変な奴ね……名前は?」 「人に名前を聞くときは、まず自分から名乗るもんだぜ」 「……ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」 少々ムッとしたが、これは正論だ。 若干ぶすっ面で返答する。 大して少年は、立派な髷をガシガシと掻きながら告げた。 後に伝説となる自らの名を。 「おいらはムサシ。よろしくなっ、ルイズ!!」 BRAVE MAGE ルイズ伝 >はじめから 前ページ次ページBRAVEMAGEルイズ伝
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「マスターよ、朝だ」 男がすやすやと眠る少女に語りかける、しかし少女は一寸も目に光がささらないようグッと閉じようとしといる とりあえず寝ている少女の毛布をはいだ 「な、なによ!なにごと!」 少女が驚きながら上体を起こす 「朝だから起こした」 「はぇ?そっそう・・・・ってあんた誰よ!」 寝ぼけた表情で男に怒鳴る少女、男が口を開く 「ロムだ」 第二話 少女の使い魔となった戦士 「ああ、昨日召喚した使い魔ね」 ロムを召喚した少女、ルイズはベットの上で上がり欠伸をひとつ、そして命令 「服」 ロムは椅子に掛かっている服を取りに行く、さらにルイズは命令する 「下着も取って」 「何処にある」 「そのクローゼットの下、引き出しに入っている」 言われるままに引き出しを明けて適当なのを取りだし制服と共に渡す するとルイズはネグリジェを脱ぎ始めたのでロムは少し慌てて後ろを向く (やれやれ、やはりこれだけは慣れないな。それにしても何故今女性の肌がこんなにも艶やかに見えるんだ・・・?以前はそれほどでもなかったのに・・・・) 兄さん、それは男性のサガです 「じゃあ服を着せて」 「・・・・・・・・」 ロムは目をそらしながらブラウスのボタンを留めていく 二人は着替えが終えて部屋から出ると目の前のドアから女の子が出てくる。長い赤毛で身長が高く、大きく突き出たバストが特徴的な少女、「微熱」のキュルケ・ツェルプストーだ 「おはよう。ルイズ」 「おはよう。キュルケ」 ルイズが嫌そうに返すと 「あらあら、やっぱり昨日の召喚は夢じゃなかったのね」 バカにした口調で言うと 「でも平民ではね~、ふふふ、あっはっはっは!」 含み笑いの後の大笑いのコンボにルイズはプルプル震えている (どうやらこの二人の仲は最悪のようだな・・・・、あまりお互い近づけない方が良いか) 二人の交流を見て学習するロム、するとキュルケの後ろから真っ赤で巨大なトカゲが現れた。尻尾が燃え盛る火で出来ているのが主人の胸の様に目立っている 「これって、サラマンダー?」 ルイズが悔しそうに尋ねた 「そうよー、見てよこの大きい尻尾についた大きな火、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ!惚れ惚れしちゃうわ~」 「あんた『火』属性だもんね」 「ええ。微熱のキュルケですもの、あなたと違って私はちゃんと自分に相応しい使い魔を召喚してるわ、それよりも・・・・あなたの使い魔は」 キュルケはルイズの後ろで手を腰に当てて一部始終を見ていたロムに視線を合わせる 「貴方お名前は?」 「ロム・ストール」 「ロム・ストール?ここらへんでは聞かない名前ね。じゃあお先に、ゼロのルイズ」 炎のような赤髪をかきあげ、サラマンダーと共にキュルケは去っていた (それにしても・・・・、いい男だったわ。) 「くやしー!何なのあの女!自分がサラマンダーを召喚したからって!」 「マスターは俺を召喚したからいいじゃないか」 「よくないわよ!メイジの実力を見るには使い魔を見ろって言うのよ!平民とサラマンダーじゃ犬と狼を比べるのと同じよ!!」 (その例えなら俺が狼だな) 「ところで、彼女、ゼロのルイズと言っていたが、『ゼロ』とは何だ?」 「あだ名よ、嫌いだけど」 ルイズはさっきよりトーンを落として呟いた 「彼女は自分の事を微熱だというのはわかるがマスターは何故ゼロなんだ?」 「うるさいわね、さっさと食堂へ行くわよ」 プンプンしながら奥へ歩いていくルイズ (そういえば昨日も周りの生徒は宙を浮いて移動していたがルイズは歩いていたな。それが関係しているのか?) トリステイン魔法学院の食堂は非常に広く、やたら長いテーブルが3つ並んである 前の椅子に座った先生やメイジが楽しそうに雑談している。 その上豪華な飾り付けがなされていてこの学院の華やかさを物語っている ロムはその物珍しさに周りに目を配り、気が付くとルイズが得意気に言った 「トリステイン魔法学院が魔法だけじゃないのよ。メイジはほぼ全員貴族なの。『貴族は魔法をもってしてその精神となす』がモットーのもと、貴族たるべき教育を存分受けるのよ」 ロムはその言葉を聞くと深く頷く。 彼もまた、クロノス族の族長である父の教えより身体だけではなく精神の成長が大切である事を教えられていた 「世界が違えど心の教えは変わらぬのだな」 「何か言った?」 さてロムはここに来て重大な問題に気付く。それは食べ物、エネルギー原の有無である。 もともとマシン生命体はエネルギーカップ、もしくはロムトロンと呼ばれる物でエネルギーを補給するのだが残念ながらこの世界にはどちらも無い。 エネルギーが補給出来ないことは餓死に繋がる・・・・。 「何ずっとパンとにらめっこしているのよ、ひょっとして食べないの?」 「いや・・・・、そうではないが・・・・」 椅子に座って朝食を食べているルイズが床であぐらをかいて皿を睨むロム見下ろして言う 「言っておくけど、渋っても何も出ないから。平民がここに入れる事だけでも珍しいのよ」 仕方がなくパンにかじりつくロム (硬い・・・硬すぎる・・・・、これは食べ物なんかじゃ無い。 こんなものを作った奴の顔を見てみたいな・・・・) などといつもは考えもしない事を心の中で呟き、良く噛んで飲み込む。そして・・・・ (・・・・なんとかなるか) どうやら大丈夫のようである